Amazon WorkDocs サービス終了に伴うデータ移行手順

AWS

2024.6.20

Topics

はじめに

先日 Amazon WorkDocs が 2025 年 4 月 25 日にサービス終了する旨がアナウンスされました。本ブログでは、Amazon WorkDocs サービス終了に伴い、データをどのように移行すれば良いかを解説します。

なお、公式より案内されているブログは以下となります。

How to Migrate Content from Amazon WorkDocs

移行方法 3 パターン

データ移行には、以下 3 パターンの方法があります。

  1. AWS マネジメントコンソールを使用し、全てのデータを S3 バケットへ一括移行する
  2. WorkDocs Companion アプリを使用し、WorkDocs エンドユーザー毎にローカルへ移行する
  3. WorkDocs Drive アプリを使用し、WorkDocs エンドユーザー毎にローカルへ移行する

1. AWS マネジメントコンソールを使用し、全てのデータを S3 バケットへ一括移行する

特徴

この方法では、 WorkDocsサイトのすべてのデータを一度に移行 することができます。多くの WorkDocs エンドユーザーやフォルダ、ファイルがある大規模な WorkDocs サイトに適しています。

手順

1. まずデータ移行先となる S3 バケットを作成します。S3 バケットは、移行元となる WorkDocs と同じ AWS アカウント、リージョンに作成する必要があります。

2. S3 バケットを作成したら、作成した S3 バケット に対してバケットポリシーを設定します。

環境に合わせて、以下のとおり書き換えてください。

  • [bucket_name] : 作成した S3 バケット名
  • [account_id] : 12 桁の AWS アカウント ID
  • [region] : リージョン
  • [workdocs_directory_id] : AWS マネジメントコンソールの WorkDocs > 自分のサイト > WorkDocs のサイトを管理 より確認できる組織 ID
{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Sid": "AllowWorkDocsFileUpload",
            "Effect": "Allow",
            "Principal": {
                "Service": "workdocs.amazonaws.com"
            },
            "Action": "s3:PutObject",
            "Resource": "arn:aws:s3:::[bucket_name]/*",
            "Condition": {
                "StringEquals": {
                    "aws:SourceAccount": "[account_id]"
                },
                "ArnLike": {
                    "aws:SourceArn": "arn:aws:workdocs:[region]:[account_id]:organization/[workdocs_directory_id]"
                }
            }
        }
    ]
}

※ 注意
移行を行うには、AWS マネジメントコンソールにログインして操作する IAM ユーザー自身に以下の IAM ポリシー許可が必要です。以後の操作がうまくいかない場合は、IAM > ユーザー > ご自身の IAM ユーザー にて許可ポリシーを確認してください。

{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Sid": "AllowStartWorkDocsMigration",
            "Effect": "Allow",
            "Action": [
                "workdocs:StartInstanceExport"
            ],
            "Resource": [
               "arn:aws:workdocs:[region]:[account_id]:organization/[workdocs_directory_id]"
            ]
        },
        {
            "Sid": "AllowDescribeWorkDocsMigrations",
            "Effect": "Allow",
            "Action": [
                "workdocs:DescribeInstanceExports",
                "workdocs:DescribeInstances"
            ],
            "Resource": [
                "*"
            ]
        },
        {
            "Sid": "AllowS3Validations",
            "Effect": "Allow",
            "Action": [
                "s3:ListBucket",
                "s3:GetBucketPublicAccessBlock"
            ],
            "Resource": [
                "arn:aws:s3:::[bucket_name]"
            ]
        },
        {
            "Sid": "AllowS3ListMyBuckets",
            "Effect": "Allow",
            "Action": [
                "s3:ListAllMyBuckets"
            ],
            "Resource": [
                "*"
            ]
        }
    ]
}

3. AWS マネジメントコンソールから Amazon WorkDocs コンソールを開き、移行するサイトの横にあるチェックボックスを選択します。右上の [アクション] を開き、[データの移行] を選択します。

4. [S3 をブラウズ] を選択し 、先ほど作成した S3 バケット名を指定します。[通知] には、移行ステータスを通知させたいメールアドレスを入力します。最大 5 つまで入力可能です。テキストボックスに「 migrate 」と入力し、[ 移行 ]を選択します。

5. 移行が完了すると、各 WorkDocs エンドユーザーごとのデータが指定した S3 バケットに保存されます。データ移行時間の実績や目安について公式に案内されている情報はありませんが、1 TB のストレージをすべて使用している WorkDocs エンドユーザーのデータ移行には約 20 分かかりました。ただし、この時間は参考値であり、必ずしも 1 TB の移行が 20 分で終わるとは限らない点にご留意ください。

なお、データ移行中も対象 WorkDocs サイト内のデータ閲覧やファイルアップロードなどの利用は引き続き可能です。ただし、データ移行中に追加したファイルなどは、S3 バケットへ移行されない可能性がありますのでご注意ください。

2. WorkDocs Companion アプリを使用し、WorkDocs エンドユーザー毎にローカルへ移行する

特徴

この方法は、WorkDocs サイトからローカルデスクトップに、自身の所有するファイルや共有されているファイルとフォルダを手動でダウンロードしたい個々のエンドユーザーに適しています。ただし、以下の制約があることにご注意ください。

  • 5 GBを超えるファイルのダウンロードが行えない (5 GBを超えるファイルが存在する場合、方法 1 か方法 3 をご検討ください)
  • 以前のバージョン、コメント、権限はダウンロードされず、最新バージョンのみがダウンロードされる
  • 自分以外のエンドユーザーのデータは移行できず、この方法でサイト全体のデータをダウンロードすることはできない

手順

1. Amazon WorkDocs コンソール画面の[アプリ]から、WorkDocs Companion アプリをダウンロードします。

2. 移行したいファイル、フォルダを選択し、[アクション] メニューから [ダウンロード] を選択します。

3. ダウンロードしたファイルが Downloads/WorkDocsDownloads/ フォルダに保存されます。

3. WorkDocs Drive アプリを使用し、WorkDocs エンドユーザー毎にローカルへ移行する

特徴

この方法は、WorkDocs サイトからローカルデスクトップに、自身の所有するファイルや共有されているファイルとフォルダをコピー & ペーストやドラッグ & ドロップ、robocopy といった方法で移行したい個々のエンドユーザーに適しています。また、WorkDocs Companion アプリの制約となる 5 GB を超えるファイルが存在する場合、この方法をご検討ください。ただし、以下の制約があることにご注意ください。

  • 以前のバージョン、コメント、権限はダウンロードされず、最新バージョンのみがダウンロードされる
  • 自分以外のエンドユーザーのデータは移行できず、この方法でサイト全体のデータをダウンロードすることはできない

手順

1. Amazon WorkDocs コンソール画面の[アプリ]から、WorkDocs Drive アプリをダウンロードします。

2. WorkDocs Drive を使用すると、WorkDocs 内のファイルが Windows のハードドライブとして表示され、ファイルにアクセスするためにドライブ文字 W: が利用可能になります。

3. コピー & ペーストやドラッグ & ドロップでデータを移行することができます。robocopy など任意のツールを使用することも可能です。

最後に

WorkDocs から S3 へのデータ移行に伴う追加コストをカバーするために、 AWS からクレジットが提供される旨の通知もございましたので、必要に応じて AWS サポートにお問い合わせください。2025 年 4 月 25 日までに代替のストレージサービスへのデータ移行が必要となりますので、早めの対応をおすすめします!
本記事がお役に立てれば幸いです。

テックブログ新着情報のほか、AWSやGoogle Cloudに関するお役立ち情報を配信中!

GENSAI

2014年入社。 関東近郊の山と銭湯と飲み屋を巡り歩いてます。

Recommends

こちらもおすすめ

Special Topics

注目記事はこちら